「 山原(やんばる) 」とは、沖縄本島北部地域一帯を指す俗称ですが、一般には貴重な自然が残っている、大宜味村、東村、国頭村あたりを指すことが多いようです。
この地域の森は、自然環境が比較的良い状態で残っており、多数の固有種、固有亜種、希少種や本県を分布の北限あるいは南限とする種などが生息し、その多様性・特異性に富む生物相は世界的にも貴重な価値を持つものとして、世界遺産登録の候補地となっています。なかでも、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネ等が「
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 」により、国内希少野生動植物種に指定されているほか、国・県の天然記念物にも指定されるなど、固有種を含む数多くの貴重な野生生物がこの3村に生息・生育し、学術評価の高い地域として国内外からも注目されています。そこで、このサイトでもこの3村を「やんばる」と定義したいと思います。そのやんばるで見かけた動植物の情報発信です。
やんばるの森は、混沌たる森です。まず、岩の上や倒木、木の上にコケが生え、その上に植物が生えます。その大事なコケはいろいろな種類がありますが、水が滴っている姿は本当に綺麗です。また、一本の倒木に何種類もの木々が生えています。枯れ木や倒木も無駄になることはなく、若い木々が育つ土台になり、いずれ土に還ります。これらの倒木のことをナースログといいます。これぞ、まさに命の循環で、自然の力は凄いです。無数の着生植物を身にまとい、そびえ立つ樹木たちや岩を抱き、切り株を抱き、からまりあう根は、自然が生み出したオブジェです。彼らの一つ一つの装いの中に森が生まれ、育ち、そして新しい命へと受け継がれていく神秘が語られています。
一日中森を歩いて、深い原生林の自然にどっぷりと浸り、身も心も森の緑に染め上げられる頃には、すっかり森の虜になってしまいます。私たちは、あわただしい都会生活の中で、人間の都合ばかりでなく、自然の都合に合わせて生きていくことを忘れてしまっているように思います。森に入ることで、物の見方が少し変わったように思います。
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