やんばる通信

 

2006年11月19日

 数年後は、建設中のダムの底に水没する予定の渓流へ、1年ぶりに行ってきました。数日来の降雨で結構水かさが増していて、渓流の中を歩いたり、斜面や岩山を登り降りしたりと、かなりハードな行程でした。沢歩きというよりもロッククライミング状態で、皆、言葉少なに進行しました。3つ目の滝までたどり着く頃には、無口になっていました。
 やんばるの渓流域にのみ生育する、固有種で絶滅危惧種のナガバハグマはかなりの株がありましたが、花はまだ1〜2輪しか咲いていませんでした。また、おなじく絶滅危惧種のアオヤギソウ、ヤナギニガナ、クニガミサンショウヅル等の貴重な植物に出会いました。特に数が激減しているアオヤギソウは、日当たりのよい岩上に数株、可憐な花を咲かせていました。水深のある渓流沿いの岩場のため、撮影するのに苦労しました。この株も数年後には水没してしまうのかと思うと、公的機関で保護してもらいたいと真剣に考えさせられました。いたるところで、リュウキュウツワブキの花が咲き乱れていましたが、前日の大雨で濁流に洗われたらしく、状態のいい花を探すのに苦労しました。そして、全長25pを超える、久しぶりに大きな個体のモクズガニに出会いました。淡水で捕れるカニでは日本最大で、河口付近の海から山奥の渓流までと生活範囲の広いカニです。上海ガニとごく近縁種で、大変美味しいカニですが、種の保存のため、観察だけして放流しました。サザンカやサツマイナモリ、チャボイナモリ、アリモリソウの花が咲き出し、ハシカンボク、ヌスビトハハギの残り花も咲いていました。林道沿いでは、アオノクマタケラン、マンリョウ、リュウキュウツルコウジ、ルリミノキが色づきはじめていました。帰り際、残照があまりにも美しいので、おもわず途中停車して撮影しました。 

  
       観察会                                 リュウキュウツワブキ

  
リュウキュウツワブキ                              リュウキュウツワブキ

  
アオヤギソウ

  
ハシカンボク                                  ヌスビトハギ

  
  サザンカ                                      モクズガニ

  
無名滝                                  無名滝

  
無名滝                                      残照