小浜島

 竹富島(たけとみじま)に行ってきました。石垣島から西に見える平たい小さな島が竹富島です。石垣港からわずか10分ほど船に揺られると赤瓦の町並みの島に着きます。白い珊瑚砂の道と色とりどりの花が咲き乱れる石垣の連なり、赤瓦の民家と、竹富島には沖縄の古い町並みが色濃く残されており、八重山観光のメッカとなっています。沖縄の原風景がここにあると言ってもいいでしょう。この美しい島は、昭和62年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。島全体が西表国立公園に属し、また島最大の祭り”種取祭”も国の重要無形文化財に指定されています。
 島中の家が珊瑚石灰岩の石垣に囲まれていて、いたる所に色とりどりのハイビスカスやブーゲンビリアの花々が咲き、パパイヤや島バナナなどの南国のフルーツがたわわに実っています。細かい珊瑚砂の白い道を大きな角の水牛がゆっくりゆっくりお客さんを運びます。見上げれば空はどこまでも青く澄んでいて、赤瓦の屋根にちょこんとシーサーが載っています。強烈な太陽と珊瑚の白砂の照り返しで、目がくらむほどまぶしく輝いていました。珊瑚礁に囲まれ、波穏やかで青い海と真っ白なパウダースノーのビーチは正に楽園です。この夢のような島の美しい自然とそこに暮らす人々の穏やかな人柄にすっかり虜になってしまいました。


 

  竹富島が海の上に緑のお皿を伏せたような形で浮かんでいます。島全体が亜熱帯性気候で、フクギ、ガジュマル、デイゴ、アダンなどの木々が茂り、アカバナー(ハイビスカス)、ブーゲンビリア、アリアケカズラなど原色の花々が咲き競って、色とりどりの蝶が舞っています。竹富島の集落がこれほどまでに美しいのは、もちろん島の人々の努力と志の賜物なのです。竹富島の集落にはゴミもほとんど落ちていませんし、どこの庭も手入れが行き届いています。これは島の人たちが、毎朝道を掃いたり、草むしりしたりしているからなんです。「残していくこと・護り続けていくこと」で、多くの訪問者を魅了しています。他のどこでも味わうことの出来ない格別な風情と眩しさ、そぞろ歩くだけでも幸せな気持ちにしてくれる島です。
竹富島名物水牛車
 島内観光はぜひ牛車で回っていただきたいものです。島の集落をのんびりゆっくり巡る観光水牛車は、この島の観光に実にぴったりの乗り物です。水牛というところがまず南国的で、スピードが人が歩く速さと同じくらいなのがまたいいのです。さらに、観光客が乗る車の部分は座席と屋根があるだけの、何とも開放的で素朴で、島の空気に直接触れられます。ガイドの名調子に耳を傾けながら、昔ながらの風情を残す町並みを30分ほどかけて、ゆらゆら水牛車に揺られてボーッとしながら回るのんびり観光もいいものです。三線の音と牛車のきしむ音が心地よく響いて、水牛の足が踏み出る速度が島の時間の流れで、同じ1秒がいつもより長く動いている気分です。水牛はしっかりと観光コースを覚えている様子で、水牛車一台がギリギリ通れる集落内の路地を上手に曲がっていくのには驚きます。珊瑚石灰岩の石垣、珊瑚砂の白い道、赤瓦の民家とシーサー、緑の草木、真っ赤なハイビスカス、ショッキングピンクのブーゲンビリア、そして青い空、白い雲。那覇でも石垣島でも得る事が出来ない郷愁がここには残っています。
安里屋クヤマの生家
  沖縄民謡の代表ともいえる「安里屋ユンタ」は竹富島の唄です。この歌詞のモデルになった絶世の美女・安里屋クヤマさんの生家です。8代目の安里屋さんが今も居住しているとの事です。珊瑚の石垣を巡らし、内側にはハイビスカスが植えられ、赤い花がびっしりと咲いています。南に向いた門を入ると屏風(ヒンプン)と呼ばれる珊瑚の石の衝立があり、周りにはブーゲンビリアが植えられ、たくさんの花を付けています。その中央には石碑が埋め込まれていて、唄い出しの一節が彫られていました。昔々、安里屋にはクヤマさんという、それは美しいお嬢さんがいたそうで、そのクヤマさんを琉球王国のお役人が見染めて口説いたそうです。それを肘鉄を食らわしたのが当時は珍しかったのか、痛快だったのか伝説の民謡になったのです。
「安里屋ユンタ」 ♪ サー君は野中のいばらの花か サーユイユイ 暮れて帰ればやれほに引き留める またハーリヌチンダラカヌシャマヨ ♪ と歌は24番まで続きます。
エビそば
  竹富島での食事のおすすめは、喫茶・食事の「やらぼ」です。店名「やらぼ」はテリハボクの木のことで、店内には、どっしりとした「やらぼ」の木のテーブルとイスがあります。ここの名物「エビそば」は、女将さんのご主人が竹富島で養殖しているだけあって、プリップリの車海老が丸ごと5匹も入っている豪華版八重山そばです。濃すぎず、薄すぎず、スープがエビの風味を上手く引き出しています。エビ好きの者にはたまらないおいしさでした。
なごみの塔
 集落の中央に「赤山の丘」というところがあり、ミニ公園になっていて、その北よりに「なごみの塔」が建っています。高さ4〜5m程の階段だけの見晴らし台で、階段は急勾配で細く、頂上には1人かせいぜい2人しか立てませんが、そこに立つと竹富島の集落が一望でき、360度の景色を独り占めできる場所です。海の向こうには西表島、石垣島などが見渡せて、「なごむ」ことができます。よく見る竹富島の観光写真に登場する珊瑚の石垣に囲まれた赤い屋根瓦の家々とバナナの木々が植えられた畑の風景は、ここから見た南西方向の写真です。






シーサー
 島は、まるでシーサー博物館です。赤瓦の屋根の上、門の前にさまざまな表情をもった個性的なシーサーがたくさんいて、集落の中を散策していると思わず笑顔になってしまいます。昔は獅子からなまってシーシーと呼ばれていたようですが、それがシーサーに変わったそうです。この島のシーサーは赤瓦職人が赤瓦のかけらと漆喰でつくる漆喰シーサーなので、一つ一つ個性があって表情が違っています。口を大きくあいているもの、閉じているもの、前足をそろえて背筋を伸ばしているもの、横座りをしているもの、中には、寝そべっているものすらあります。それら全てが、赤瓦の屋根と実にしっくりと合い、落ち着いた風景となっています。空の青と瓦の赤が見事な調和を見せています。
コンドイビーチ
 コンドイビーチは、パウダーサンドの真白いビーチと限りなく青く透きとおる海が、すばらしい色彩のコントラストを見せています。周りが珊瑚のリーフに囲まれているため波はほとんどなく、どこまでも続く遠浅のビーチは海水浴とシュノーケリングの練習にぴったりです。海の色は手前の透明色から次第に青色を増して続いていき、水平線はそのまま空へと続いています。前方には、西表島、小浜島、黒島が眺められ、ポーッとみているだけで時間のたつのを忘れます。


 カイジ浜にいると、「なんでこんなに猫がいるんだ。」と思います。カイジ浜のお土産屋さんの周りに猫たちはいます。猫たちは寝てばかりです。見てやってください、この幸せそうな連中を!みんな家族でしょうが、まあなんと優雅なことか。海に向かってたたずむ白猫…絵になります。ここは猫にとっても楽園なんでしょう。しばし猫たちと戯れて下さい。
カイジ(皆治)浜
  有名な「星砂の浜」です。島の偉人「西糖」が統治の為に蔵元を置いた所で、皆治は”皆(みな)を治める”と言う意味があるそうです。浜に腰を下ろして星砂を探してみて下さい。手のひらをつくと、星砂が付いてくるはずです。沖縄の白い砂浜は、そのほとんどが珊瑚や貝などの生物の死骸で構成されています。星砂も、実は海草などに付着して生活している原生動物のなかの有孔虫(ゆうこうちゅう)の骨格が、波などで砂浜にうちあげられたものです。つまり、この骨格が星の形に似ているため、星砂と呼ばれるようになったのです。また、幸福をもたらすといわれる星砂は、海の大蛇に食べられた星の子どもの骨が流れ着いたいう伝説もあります。海のぎりぎりまで木が茂っているので木陰も多く、星砂でも手に取りながらボーッとしてもいいでしょう。竹富島で一番心地よい所はここかもしれません。天気の良い日には魂が奪われそうになる浜です。




宇根屋前
 竹富島の集落でも、ブーゲンビレアが一番きれいな所です。
  目に付くのは 沖縄独特の魔除けのおまじないです。シーサーもそうですが、T字路には必ず石敢當があります。この石敢當はまっすぐにしか進めない沖縄の魔物がT字路の突き当たりのこの石にぶつかって退治できるという魔除けです。
  同じ意味を持つものにヒンプンというものもあります。垣根が入り口の部分で途切れ、門になっていますが、この門を入ってすぐの所にツイタテのように短い壁が立っています。このヒンプンも、悪い魔物が家の中に入ってこない様に立てられています。ヒンプンはコンクリートのようなものも有れば、垣根同様石垣を積んだもの、果てはブーゲンビリアやハイビスカスなどの色とりどりの草花で作られたものまで様々ですが、これらが島の人々の精神的な安心感にも繋がっているような気がします。