2010年12月12日〜13日
琉球エアコミュータ(株)のDHC-8が1日2便就航しています。那覇から、わずか1時間で到着します。船便は、那覇からフェリーで12時間の週1便です。 南大東島は、約4800万年の時を経て、南半球の赤道直下から旅をしてきたといわれています。古来より沖縄では、はるか東にある島という意味の「うふあがり島」の名で呼ばれてきました。 19世紀前半に、大東島はボロジノ島として正式に英国海軍の海図や欧米の地図に登場しました。ボロジノとは島を発見した、ロシア海軍の佐官であったポナフィディンの指揮する艦船・ボロジノ号にちなんで命名されました。 南大東島は、遠く海上から眺めると、水平線に一の字を書いたような扁平状に見える島です。しかし、島の内部は、周囲が環状丘陵地を形成し、中央部は窪んで盆地状になり、一見火山島を思わせるような様相をしていますが、実際は火山島ではなく、環礁(大洋中に発達する環状の珊瑚礁の事)が数回の隆起を経て出来たサンゴの島です。現在でも、フィリピン海プレートに乗って、1年間に7p、北方方向に移動しているといわれます。その証拠となるのがバリバリ岩(まっぷたつに切り裂かれた巨大な岩山)で、岩間から村木のダイトウビロウがそびえ立っています。貴重なオカガニのヘリトリオカガニ(準絶滅危惧種)に出会いました。 北緯25度50分、東経131度14分 東西:5.78km 南北:約6.54km 周囲:20.8km 面積:30.57平方km 人口:1.292人(2010年) 南大東島も、八丈島出身の開拓民により島の第一歩が踏み出され、沖縄本島からの移住者が加わって開拓されましたので、日本文化と琉球文化が融合した独特の大東文化が育まれています。 大陸から隔絶されてきた南大東島では、固有の動植物が今も息づいています。南大東島東海岸植物群落は、大東島東海岸の通称「海軍棒」と呼ばれる岩礁地を含む一帯にあり、この地域にはミズガンピを主としたオオソナレムグラ・ボロジノニシキソウ・アツバクコ・ウスジロイソマツ等の混生した群落が見られます。その中でもボロジノニシキソウの群落は南北大東以外にマリアナ諸島・オーストラリア等の極く限られた地域でしか見ることのできない、学術上貴重な群落です。また、大池にはオヒルギやイバラモの群落があり、内陸部の淡水池に育つ、世界でも稀な生態となっています。 沖縄島や九州本土から遠く離れた絶海に浮かぶ南・北大東島は、自然界においてもたくさんの固有種を育んできました。ダイトウオオコウモリ(国指定天然記念物)、大東犬、ダイトウコノハズク、ダイトウヒヨドリ、ダイトウメジロ等々。また大池の北岸に群生する「オヒルギ群落」は、淡水に群生するマングローブとして、世界的にも珍しいものであり、天然記念物に指定されています。特に、国指定の天然記念物に指定されているダイトウオオコウモリは、オオコウモリ科の大東諸島だけに生息する固有亜種で、学術上貴重な存在です。翼を広げると、80cm以上にもなる大型種です。首のまわりの体毛が美しい白色や金色である点が大きな特徴で、コウモリの不気味なイメージと違って、よく見ると可愛らしい顔をしており、林の中に住みながらガジュマルなどの実や若葉を食べる点も、洞窟に住んで昆虫を食べる小型のコウモリと違っています。 サトウキビ農業が中心で、我が国では例の少ない、大型機械化一貫作業体系による大規模経営が確立していて、見渡す限りサトウキビ畑が一面に広がります。最近は、農家の副業として肉用牛と山羊を主とした畜産が行われています。 太平洋に囲まれた島の海域は漁場に恵まれ、マグロ、カジキ、サワラ等の漁獲が豊富です。そのため、陸を大きく堀り込んで、漁港を作ってあります。 今回出会った植物は、ミズガンピ、オオソナレムグラ、ボロジノニシキソウ、アツバクコ、ウスジロイソマツ、シロミルスベリヒユ、オヒルギ、イバラモ、ダイトウビロウ、ダイトウシロダモ、ダイトウセイシボク、ダイトウワダン、ヒメタニワタリ、ケナシサダソウ、ハマハギ、ハマナタマメ、ホシアサガオ、ヒメノアサガオ、ネコアサガオ、ツタノハヒルガオ、ケミズキンバイ、クロミノシンジュガヤ、ヤエヤマアブラガヤ、ナンバンアカバナアズキなどでした。 |