久米島

  久米島は、那覇市の南西へ約100kmの東シナ海に位置し、久米島本島、奥武島(おうじま)、オーハ島の有人島と、硫黄鳥島(いおうとりしま)などの無人島で構成されています。古来「球美(くみ)」と呼ばれた久米島は、那覇から飛行機で約30分、上空から見ると蝶が羽をひろげた様な形をしている美しい島です。2002年4月1日に具志川村と仲里村の2村が合併し、久米島町が誕生しました。琉球王朝時代には琉球と中国を行き来した航路の重要な中継地点でした。 沖縄戦の戦禍を逃れた数少ない島で、国指定重要文化財の「上江洲家(うえずけ)」や「具志川城跡(ぐしかわじょうせき)」などの史跡が残っています。そして、国指定天然記念物の『五枝の松』や久米島ならではのスポットとして、『久米島ホタル館』があります。1993年に発見された新種のホタル、クメジマボタル(県指定天然記念物)と、周辺の生態系について学ぶことができます。リゾートホテルや観光スポットも多く、観光客から人気の高い島で、東京直行便も季節によって運航しており、本土からのアクセスも便利です。那覇からの空の便は1日5〜6便運航しています。また、本島からの船の便も高速船「ぶるーすかい」(4月〜10月運航)では真泊(まどまり)港まで約1時間45分、フェリーで兼城(かねぐすく)港まで約4時間しかかかりません。島内は路線バスが運行していますが、本数が少ないのでレンタカーやタクシーでの観光が便利です。
  また、美しい白い砂浜が2kmにわたって続く「イーフビーチ」や、島の東側の沖に浮かぶ砂浜だけの島「はての浜」では、シーズンともなると、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ大勢の海水浴客で賑わいます。島の東にある奥武島(おうじま)の南海岸には、亀の甲羅のような模様の石が一帯に敷きつめられた、県指定天然記念物『畳石』があり、自然が作りあげた、景観の不思議を見ることができます。
  島の特産品は500年の歴史を持つ久米島紬です。沖縄本島でも広く愛飲される泡盛「久米島の久米仙」もこの島の名産です。近年は、日本最大規模の取水量を誇る海洋深層水が注目されています。
  青く澄んだ海と真っ白な砂浜、亜熱帯の深緑に恵まれた豊かな自然、サンゴからできた琉球石灰岩の石垣や赤瓦屋根の民家など、沖縄ののどかな原風景が残る島で流れる時間はとてもゆったりとしていて、『楽園』のようです。
イーフビーチ
  きめ細かい真っ白い砂が2kmにもおよぶ天然のビーチで、海底の砂も沖合いまで続き、干潮になれば沖まで歩いて行ける遠浅の海です。波が穏やかで、海水浴場として最適な環境です。ビーチ周辺にはリゾートホテル、ダイビングショップなどが並び、シュノーケルやウィンドサーフィンなどのマリンスポーツも充実しています。シャワーやトイレなどの設備もあり、サンデッキ、パラソルなどのレンタルもあるので、1日中快適に過ごせます。
シンリ浜
  砂の深さに足をとられることで名がついた、美しい浜です。久米島空港から徒歩10分でいける、透明度の高いビーチです。「シンリル」は方言ですべるという意味で、真白い砂浜が約3kmも続き、その砂の深さに足をとられてすべる事からその地名が付いたそうです。サンセットポイントとしても人気で、美しい夕日の大パノラマが望めます。近くのキャンプ場は、夏ともなればビーチキャンプでにぎわいます。
はての浜
 
久米島の東側の沖合いの紺碧の海に、約7kmにわたって細長く横たわるサンゴ礁からできた真っ白な美しい砂洲です。隆起した真っ白な砂と、太陽光線の当たり具合によって細やかに変化するエメラルドグリーンの海の色とのコントラストが目もくらむようなまばゆい美しさです。
「はての浜」へは定期船も出ており、宿泊施設やマリンショップのオプショナルツアーがあり、20分程で行けます。パラソルやサンマットなどのレンタルもあり、トイレも整備されています。リーフに囲まれていて、遠浅で波も穏やかなので、海水浴やスノーケリングなどの多彩なマリンスポーツが楽しめます。
真謝のチュラフクギ
 
久米島をドライブしていると、フクギ並木をよく見かけます。フクギは防風・防火・防潮林として、沖縄全域で広く用いられている木ですが、なかでも真謝(まじゃ)集落内を通る、県道のまん中にあるフクギ並木は推定樹齢200年以上ともいわれ、40mにわたってつややかな葉を生い茂らせています。そのみごとさから「チュラフクギ」と呼ばれ、県の天然記念物にも指定されています。「チュラ」とは方言で「美しい」という意味です。もともとフクギは防風や防火、防潮を目的に屋敷の周囲に植えられてきましたが、道路拡張のため大部分が削られてしまい、現在はその一部分が県道の真ん中に残っています。久米島の人々の「チュラヂム(美しい心)」が見えるフクギ並木です。
ミーフガー
 ミーフガーは久米島(くめじま)の大和泊(やまとどまり)海岸にあり、風と潮の浸食によってできた奇岩です。岩に割れ目があることから、女岩とも呼ばれ、女性の象徴として例えられています。子宝に恵まれない女性が岩を拝むと、ご利益があるという言い伝えがあり、今も訪れる人が多い敬けんの地です。久米島には、男性のシンボルとしてあがめられている男岩もあります。
旧仲里間切蔵元跡
  仲里間切蔵元跡は琉球王府時代の地方行政機関である久米島真謝(まじゃ)集落の蔵元跡に残る石垣です。門の部分は石を四角に切った布積み、他の部分は自然の石の形を生かしたあいかた積みになっています。また、通用門は四隅がゆるやかにカーブしたアーチ型の美しい門です。1700年代半ばに完成したといわれ、国の重要文化財に指定されています。 
具志川城跡
  久米島は大交易時代の要所だったこともあり、解明されていないものも含めるとグスク跡は10カ所以上もあるといわれています。その中でも古琉球から続く高級神女・君南風(チンペー)が今も祭祀ウマチーを司るのが具志川城跡(ぐしかわじょうせき)です。15世紀初頭に島を制覇していた按司(あじ:領主的豪族)の居城で、遺構より青磁片が出土することなどから、南海貿易の歴史の一端をうかがわせる貴重な遺跡です。琉球の歴史上重要な、三方を海に囲まれた眺望のすばらしい城跡です。 
久米島紬の里 ユイマール館 展示資料館
 深みのある色合いと伝統の絣模様が美しい「久米島紬」は、15世紀半ばには織られていたといわれ、日本の紬のルーツともいわれています。草木染と泥染を繰り返す独自の染色方法から生まれた深い黒褐色の地色が、素朴な風合いを織りなしていて、沖縄県の無形文化財にも指定されています。「久米島紬の里ユイマール館」は久米島紬の共同作業所で、ほぼすべての工程を見学することができます。併設の「展示資料館」では久米島紬の歴史や工程の説明、植物染料の紹介、作品の展示を見ることができ、また久米島紬を使った小物やネクタイなどの販売もおこなわれています。
久米島町奥武島の畳石
  久米島の東部、西奥武島(にしおうじま)の南海岸にある、県指定天然記念物の奇岩群です。干潮時に現れる岩が五角形や六角形の亀の甲羅そっくりで亀甲岩とも呼ばれ、1,000個以上の岩が南北50m、長さ250mにわたり、砂浜に広がっています。安山岩質の溶岩がゆっくり冷えて岩石になる時に割れ目ができる柱状節理と呼ばれるもので、世界的にも珍しいといわれています。表面は波の浸食でほとんど平坦になっていて、まさに自然の作り出した芸術作品です。
五枝の松
  国指定天然記念物で、高さ6m、幹回り約4.3m、地面をおおう枝の面積250平方メートルの巨大なリュウキュウマツです。普通の松のように上へは伸びず、枝が地面を這うように波打って伸びているのが特徴です。まるで巨大な盆栽のようで、その美しさは琉歌にも詠まれ天下随一と言われています。18世紀初頭、農業の神を祭ったときに植樹されたリュウキュウマツは、樹齢250年余と推定され、日本の名松百選にも選ばれています。
上江洲家住宅
 上江洲家は西銘集落にあり、久米島の具志川城主の末裔といわれ、代々、間切(まぎり:現在の市町村)の地頭代を勤めた旧家です。敷地は琉球石灰岩の立派な石垣とフクギが取り囲み、約250年前に建てられた主屋をはじめ、前の家、ヒンプン、井戸など屋敷全体がよく保存されており、当時の様式を見事に残しています。1700年代半ばに建築された沖縄最古の民家で、国の重要文化財に指定されています。
リゾートホテル久米アイランド
  「日本の渚100選」に選ばれた美しい砂浜イーフビーチに面し、南欧調の赤レンガ屋根と白壁の建物のまわりに、美しい花と緑の庭園が広がるデラックスリゾートホテルです。客室は30〜34平方メートル。広めのベッドでゆったりくつろげます。島で唯一の9ホールのアプローチゴルフをはじめ、ダイビング、スノーケリングなどのマリンスポーツが楽しめ、ツアーデスクにて「はての浜」へのオプショナルツアーの案内もあります。
宇根の大ソテツ
  宇根(うね)集落にある巨大なソテツで、喜久村家の庭に植えられています。ソテツは、中国から琉球列島、九州(宮崎県)にかけて分布しており、海岸部の風当たりの強い崖などに自生しています。 通常、樹高は2mくらいであるが、このソテツは、高さ6mと4m、推定樹齢250〜300年にもなるといわれており、県指定天然記念物で日本一です。何百回と押し寄せたであろう台風の暴風雨にも負けなかった見事な大ソテツです。このような大きなソテツに成長したのは、周囲が屋敷林に覆われているため台風などの影響が少なく、庭木として十分な管理が行われてきたことによるものと思われます。
阿嘉のヒゲ水
 島の北側にある、200m近い断崖絶壁からの幾筋もの滝です。北風が吹くと、水が風にあおられ、逆に吹き上げられる光景がヒゲに似ていることからヒゲ水といわれています。
久米仙酒造
  久米島の湧き水から造られる泡盛『久米島の久米仙』の工場で、見学を受け入れています。沖縄で広く愛飲される泡盛で、私の指定する銘柄の一つでもあります。