北大東島

2010年12月11〜12日

   平成9年10月に滑走路が延長され、現在は琉球エアコミュータ(株)のDHC-8が1日1便就航しています。那覇から、わずか1時間で到着します。南大東島から飛行機で3分で、1日1便。船便は、那覇からフェリーで12時間の週1便です。
 北大東島は、約4800万年の時を経て、南半球の赤道直下から旅をしてきたといわれています。古来より沖縄では、はるか東にある島という意味の「うふあがり島」の名で呼ばれてきました。 島の周りを取り囲む険しい岩礁は、人々の前に立ちはだかりましたが、開拓への思いを強めていった先人たちはついに、土地を拓き、新たな事業を興し、島の開拓に成功しました。フロンティアスピリットが今も息づく、島です。
 沖縄本島の東方約360kmに位置する北大東村は、沖縄県で最も早く朝日が昇る島で、北大東島と沖大東島の二つの島から成っています。気候は亜熱帯海洋性気候に属し、一年を通して暖かく、降水量は少ないものの、数多く接近する台風によって雨水がもたらされています。
 北緯:25度56分55秒 東経:131度17分27秒(黄金山頂上) 東西:4.85km 南北:約3.05km 
 周囲:13.52km 面積:11.94km2  人口:男912人 女692人 計1.604人   
 北大東島は、珊瑚環礁が隆起して出来た島で、中央部は盆地のように窪んでおり、大小20数個の沼や湿地が散在しています。盆地の周りを、屏風のように連なる小高い丘が取り囲み、防風林として島を台風などの災害から守ってきました。
 大陸から隔絶されてきた北大東島では、固有の動植物が今も息づいています。開拓の手を逃れた長幕周辺は、シダ科の植物ヒメタニワタリやダイトウワダンなど、貴重な植物が見られ、国の天然記念物に指定されています。長幕の内陸部にあるダイトウビロウ樹林は昼間でも薄暗く、開拓前の密林を思わせます。
 開拓以来、燐鉱石採掘事業が盛んに行われていた北大東村ですが、閉山後はサトウキビ農業に切り替わり、今では村民の生活を支えています。広々と区画整理されたキビ畑では、「ハーベスター」による大規模な生産が行われ、農業従事者の高齢化や労働力不足を補っています。また、近年では馬鈴薯の栽培が始まっています。
 太平洋に囲まれた島の近海は、キハダマグロやカジキ、サワラなどが回遊し、本土から出漁してくるほど豊かな漁場です。ナワキリ(クロタチカマス)など本島近海では見られない深海魚が獲れるほか、イナダやキンメダイなど魚種も豊富で、季節によっては、20kgもあるセーイカ(ソデイカ)が獲れます。北大東村は年間約40トンの漁獲高を誇りますが、市場が遠く漁港に恵まれないため、小型船の操業と島内消費にとどまっているのが現状です。
 八丈島出身の開拓民により島の第一歩が踏み出され、沖縄本島からの移住者が加わって開拓された北大東村では、日本文化と琉球文化が融合した独特の大東文化が育まれています。旧盆にはエイサーが舞われ、豊年祈願の大東宮例祭では神輿が島中を練り歩き、江戸相撲と沖縄角力が奉納され、金刀比羅宮例祭では航海安全を祈願します。
  今回の目的は、植物調査でしたので、到着したらすぐに、Sさんに迎えに来ていただき、早速あちらこちらのポイントを案内してもらいました。おかげさまで、アラゲタデ、コバノアカテツ、ナガバアサガオ、ダイトウサクラタデ、ホソミアダン、ダイトウワダン、トベラ(ダイトウトベラ)、ヒメノアサガオ、ボロジノニシキソウ、オオソナレムグラ、ウスジロイソマツ、シロミルスベリヒユ、アツバクコ、コヒロハハナヤスリ、オキナワツゲ、タチバナ、ダイトウシロダモ、ムニンキケマン、ダイトウセイシボクなどを撮影することが出来ました。
 北大東島は孤島のため、固有種や固有変種、隔離分布、分布北限など、貴重種の宝庫となっています。そのほとんどを見ることが出来ました。大変貴重な時間を割いていただいて案内してもらったおかげです。ありがとうございました。 

      
アラゲタデ

     
コバノアカテツ                            ホソミアダン

     
ナガバアサガオ

  
ダイトウサクラタデ

  
ダイトウワダン

  
トベラ(ダイトウトベラ?)

  
ヒメノアサガオ

  
ボロジノニシキソウ

  
オオソナレムグラ

  
ウスジロイソマツ                                  アツバクコ

  
アツバクコ

  
シロミルスベリヒユ

     
コヒロハハナヤスリ

     
コヒロハハナヤスリ                           オキナワツゲ

       
タチバナ                             ダイトウシロダモ

  
ムニンキケマン                                   ダイトウセイシボク

  
RAC