浜比嘉島

 浜比嘉島(はまひがじま)は、周囲7kmの起伏に富んだ島で、浜と比嘉の2つの集落があり、半農半漁の生活が営まれているのどかな島です。琉球開闢伝説で有名な「アマミチュー」「シルミチュー」が住んでいたと伝えられる島で、集落には拝所や御嶽(ウタキ)が点在し、神高い島ならではの静けさと落ち着きがあります。まだ、古い沖縄の村落の雰囲気が色濃く、赤瓦屋根の家並みに屋敷は石灰岩の石垣に囲まれ、フクギが取り囲み、ヒンプンという門の前の仕切りがあって、昔ながらのたたずまいの沖縄の原風景を今に残しています。島の人はおおらかで、一日中家を開け放し、この世に悪人はいないとでも言わんばかりの開放感に満ちた、古きよき時代の沖縄の生活があります。島の周りは岩場が多く点在していて、釣り場としても人気のスポットです。

浜比嘉大橋
  1997年、平安座(へんざ)島との間に浜比嘉大橋が開通し、多くの人が訪れるようになりました。橋の上から見る海の色がエメラルドグリーンからマリーンブルーへと多彩に変化し、きれいです。
路地と石垣とフクギとハイビスカス
 フクギは石垣の内側に屋敷囲いとして植えられています。本来の目的は「台風」から屋敷を守るためにあるのですが、その木陰は、強烈な太陽の光をさえぎる最高のいこいの場所にもなります。そして、屋敷のあちこちにハイビスカスやアリアケカズラ、パパイヤといった南国特有の植物が目立ちました。また、路地の石垣には、ススキを束ねたグーサンと呼ばれる魔よけがいたるところにありました。

比嘉漁港
 島の東側、小さな漁港の先端は車が横付けできるので、いつも釣り人でにぎわっています。この場所に、よく初日の出を見に行きます。夜明けを待ちながら、初釣りも楽しむという、欲張りな元日の朝を迎える、我が家のしきたりです。チヌ、カーエー、ミーバイ、タマン、ガーラ、コチといった魚種をつり上げた実績のあるポイントです。その横の岩場を通り抜けたところに、きれいな海があります。透明度の高い海中の美しさは抜群です。プライベートビーチ感覚で楽しめる海で、訪れる人も少ないので、のんびりできます。シュノーケリングが楽しめますが、シャワー・トイレ等の設備は何もありません。また、磯釣りの絶好のポイントでもあります。ウコンイソマツの花が咲き出していました。
吉本家
 吉本家周辺には、比嘉部落の昔のたたずまいがそのまま残っています。建築家の注目の的になっている「吉本家」は沖縄の伝統建築様式を保っているそうです。個人の住宅であり、そこで生活をしていますので、挨拶をして入ると、気さくで人の良いおばーが手招きをして「クルザータ−カメー(黒砂糖食べなさい)」、「チャーンヌメー(お茶も飲みなさい)」と、うちなーおばー得意のカメーカメー(食べなさい食べなさい)攻撃で歓迎してくれました。先客の観光客もいましたが、おばーのあまりのやさしさに甘えて、上がり込んでしばし寝転がってしまうほどでした。小さな島で、時間がゆっくりと流れている感じで、すっかり癒されました。赤瓦屋根と真っ白なサンゴ砂利を敷き詰めた広い庭、そして青い空、強烈な太陽の下でのまばゆいばかりのコントラスト…違う世界へ迷い込んだような気分になりました。